“ふじのくに”から飛躍するアーティスト紹介

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写真浜松市立与進中学校吹奏楽部

吹奏楽&合唱


2012年、吹奏楽(座奏)、マーチング、合唱の3つのコンクールで静岡県代表の成績に輝いた浜松市立与進中学校吹奏楽部。
吹奏楽コンクールで10年以上も東海大会に出場を続ける伝統校の与進中学校は、定期演奏会も毎年開催するなど活動は充実しています。さらに、ここ数年は、マーチングに加え、吹奏楽部でありながら新たに合唱にも挑戦を開始するなど、活動の幅をさらに広げています。
2012年の部活動の最終日に学校を訪問し、顧問の徳増誠先生にお話しを伺いました。

[インタビュー日時]
2012年12月28日 浜松市立与進中学校にて
(聞き手:FCN理事 齊藤 勇)

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Q1.
2012年、吹奏楽・マーチング・合唱の3部門で静岡県代表となる輝かしい成績を達成されましたが、今年を振り返ってどのような一年だったと感じていますか?

A1.
代表になって上の大会に行くと、全国大会に進む学校のレベルの高さを実感しました。
遠くから見ると綺麗な山でも、山登りで頂上を目指すと険しく大変な道のりなのと同じですね。

私が与進中に赴任して3年が経ちましたが、ここまでの取り組みが3年間で一つ形になったのではないかと手応えも感じています。来年からは次のステップが必要ですし、ここまで来たら突き抜けるまで挑戦したいって思います。「もうちょっと上手くなりたい」って思っています。


(写真:FCN主催“春の祭典”にて 吹奏楽ステージ)

Q2.
吹奏楽(座奏)とマーチングだけでなく、吹奏楽部員が合唱を本格的に行ってコンクールや演奏会で発表することはなかなか無いことだと思います。そのような取り組みをしようとされたねらいは何でしょうか?
また、楽器演奏だけでなく、合唱も行うことによって得られる成果や利点などはどんなところでしょうか?

A2.
よく聞かれる質問なのですが、特に最初から得られる利点などを考えて始めた訳ではないんです。やってみたいと思ったら、即実践って感じで取り組み始めました。
ちょうど合唱を指導できる先生(副顧問・松田先生)が一緒に赴任してきたこともあって、まずはやってみようといった感じで始めてみました。限られた環境や(人材などの)資源や時間など、すべてフル活用ですね。


(写真:FCN主催“春の祭典”にて 合唱ステージ)

Q3.
部員は3学年で約50名ほどと伺っています。中学時代の経験者が希望して入部してくる高校の吹奏楽部とは違って、中学校の場合、入学してから楽器に初めてふれる生徒も多い上に、1年生も夏以降は舞台にあがることが多いのではないかと思いますが、指導法などで何か工夫されていることはありますか?

A3.
合唱を取り入れた話に関係しますが、新入部員(1年生)は楽譜が読めない初心者の子も多いので、入部したその日から活動に参加できるという意味で歌を取り入れたという面はあります。
楽器の場合、ちゃんとした音が出るまでには時間がかかりますので、最初のうちは歌で参加しながら、楽譜やアンサンブルに慣れていきながら、徐々に楽器で合奏に参加できるようにしていく流れは出来たように思います。ただ、まだ合唱に取り組んだことで、楽器の演奏が上手くなったという実感がないのが、正直なところです。今後は、「歌っていることで楽器も上手くなったね」と言われるように、もう少し突き詰めていきたいと思っています。


Q4.
与進中はここ15年ほどの間、顧問の先生が数回交代される中でも充実した活動を継続されています。定期演奏会のチラシなどにも「與進魂」という言葉が書かれていましたが、先代の先生から引き継がれる形で現在指導されている立場から、与進中の伝統の力や魂のようなものを実感されますか?

A4.
はい。「與進魂」を感じることはよくあります。
私は「與進魂=責任感」だと感じています。

たとえば、どんよりしている雰囲気が、「与進」であることを意識した瞬間、良くなる時があるんです。与進の子たちは、しょっているものがあって動いているというか、常に危機感の中で活動しているように思います。もやもやした感じの時に「みんな、与進だろ!」っていうと、すぐに出来たりするんですよ。最初からやってよって思いますけどね(笑)

新しい学校には無い伝統校独特のもののように思いますが、その意識は指導する側の大人も持っていないと、くじけてしまうと思います。


(写真:合奏練習にて)

Q5.
限られた練習時間の中で、3つの部門の練習を行っていくのは、様々な点で苦労も多く、大変なことだと思いますが、生徒たちのモチベーションの支えになっているものには何があるのでしょうか?

A5.
モチベーションになっているのは、やはり「與進魂」でしょうね。
「與進魂」を共有する仲間同士ということも、お互いに刺激になったり、支えになっているのではないでしょうか。


(写真:浜名湖ガーデンパーク・スプリングコンサートにて)

Q6.
先生ご自身も、中学校や高校の時代に部活動で楽器を演奏していたと伺っています。学生時代の部活動での体験から得たことが、教員になってからも指導者として熱心に取り組む原動力になっている部分はあるのでしょうか?

A6.
私の場合は、中学生の頃から英語が好きで、将来英語の先生になりたくて高校や大学に進学しました。
兄が楽器を吹いていたこともあって、小学生の頃から部活で音楽をやっていましたが、学校で吹奏楽の指導もやってみたいと思ったのは、大学の部活で指揮者をやった頃から意識し始めました。

大学生で最初にコンクールで指揮した時は京都府大会銅賞でしたが、次の年には銀賞になりましたが、その1年のステップが、今思えば私にとって大きな前進だったなと感じています。


(写真:合奏指導をする徳増先生)

そして、96年に大学を卒業して2年は講師の立場で学校に入ったのですが、最初の1年は高台中学校(1997年に全国大会出場)で顧問の杉山先生と机を並べて部活の指導に加わらせていただきました。2年目は、今いる与進中に講師で入りました。その年は、与進が初めて県大会に出場した年でしたが、現在浜松で中心になっている加藤先生のもと、先生が不在の時は何度か代わりに指導しました。教員として本採用になる前の2年間、大先生たちとの出会いも、私にとっては貴重な機会だったと感じています。
教員になってから浜北北部中学校に赴任して吹奏楽部の顧問になり、東海大会にも出場したり、いろいろな経験を積ませてもらいました。好きなだけでは成果は出ないし継続しない、上達していくためには、技術やノウハウの習得も必要ということを肌で感じました。それから江南中を経て、3年前に与進中に赴任して今に至っています。


Q7.
先日の定期演奏会(2012.11.10)を鑑賞させていただきましたが、先生の部員の皆さん一人一人に対する思いやりや愛情を感じました。生徒の皆さんは数年で与進中を卒業していくことになりますが、卒業後も期待することや願うことはありますか?

A7.
吹奏楽を続けてくれたら嬉しいですね。
ただ、子どもたちの将来を縛ることもできませんし、そんな風に言うものでもないかもしれませんが、今も高校や大学に進学した卒業生たちの多くが楽器を続けているみたいですので嬉しいですね。
子どもたちからしたら、音楽が好きな先生から教わることが一番ですし、吹奏楽が好きなオーラが出ている先生と出会えることが幸せじゃないですかね(笑)


(写真:第12回定期演奏会チラシ)

Q8.
与進中の活躍は、浜松の吹奏楽界においても、近隣の地域においても話題になったり、期待を寄せられることが多いと思います。今後の抱負などありましたら聞かせてください。

A8.
コンクールの成績だけが注目されがちですが、私はコンクールに出る意義などは特に意識していません。
夏頃までの期間、コンクールで上を目指すことで上達していくので、その後、1年の最後に定期演奏会の場で与進の音楽の集大成を発表できればと考えています。
ただ、アマチュアとして全国大会に出ることは一つのステータスなので、高校野球の子たちが甲子園を目指すのと同じように、もちろん全日本を目指します。

あと、当面の抱負としては、いま取り組んでいることのクオリティを高めることですね。


(写真:合奏練習にて)

子どもたちに対して思うことは、部活をやりながら辛い思いをしている子がいなければいいなと願っています。
同じ目標に向かってみんなで取り組めば、信頼を深められるし、昔の言葉でいう「同朋」というか、同じ釜の飯くった仲間みたいな関係になれるのは、きっと時代が変わっても普遍的なものだと思います。部活を通じて、そのような絆を深めていってくれたらいいなと思っています。学校の先生だから、余計にそう思うのかもしれません。


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徳増先生、インタビューにご協力ありがとうございました。

取材に伺った際、音楽室での練習も拝見させていただきました。
音楽室の中には全員が見えるところに置いてあるホワイトボードには今年度の目標や課題などが明示されていたり、廊下の壁には、部員ひとりひとりの各自の課題などを自己分析するシート(カルテ)が貼ってありました。

 
(写真:音楽室のホワイトボード、個人カルテの掲示)

定期演奏会が終了して3年生が卒部した後、新メンバーで共有する目標や課題が明確になるまでは楽器を持たないように徹底し、自分たちの意思で納得できる目標設定と課題の認識を共有できた時点から、初めて新体制で音を出す練習を始めたそうです。
徳増先生が指導を始めて4年目となる新年度は、それまでには無い新たな取り組みも始めているとのこと。「與進魂」で一つになる与進中のサウンドが、新たな輝きを放つ2013年への期待が膨らみます。


(写真:合奏練習にて)

取材を通じて、音楽を職業にしている指導者とは異なり、先生自身が「学校の先生」であることをふまえた言葉が随所に語られたことが印象的でした。
「私は吹奏楽のフィルタを通した方が得意なので・・・」と最後に語った徳増先生、益々のご活躍と与進中の躍進を祈念しています。


紹介映像 


♪ 情熱大陸コレクション “エトピリカ~情熱大陸”
  Flying Doctor&浜松市立与進中学校吹奏楽部
 
 @UMF2013“春の祭典” (鍵盤ハーモニカ・カルテットとの共演)


→映像関連情報はこちら


合唱曲“夜明け”  浜松市立与進中学校吹奏楽部 Happy Harmonies
 
 @UMF2013“春の祭典”


→映像関連情報はこちら


(FCN公式ホームページ“公開映像”コーナーより

PROFILE 

浜松市立与進中学校吹奏楽部

2012年 静岡県吹奏楽コンクール・A編成の部・金賞(東海大会出場・銀賞)、
2012年 関東合唱コンクール静岡県大会金賞(関東大会出場)、
2012年 静岡県マーチングコンテスト金賞を受賞。
吹奏楽・合唱・マーチングの3部門において県代表の成績を達成。
さらに、2012年には日本管楽合奏コンテスト全国大会に出場。

そのほか、年に1回開催する定期演奏会のほか、市の吹奏楽イベントや地域の行事など出演多数。
静岡県を代表する中学校吹奏楽部として活躍中。


(写真:吹奏楽のステージ 第12回定期演奏会より)


(写真:合唱のステージ 第12回定期演奏会より)